脱・属人プログラム — 学習ノート
— 散らかる作業を裏でやらせて、結論だけ受け取る
Claude Codeに最初から備わっている「サブエージェント」。裏で別のAIを立ち上げて作業させ、あなたの会話には結論だけを持ち帰る仕組みです。何がうれしいのか、どう使うのか、そのサブエージェントの“指示書”はどこにあるのか——非エンジニアのための入門ノート。
2026.07.26 作成 / 2026.09.09 更新 / Claude Code の標準機能を対象
第1章
「サブエージェント」は、Claude Codeに最初から備わっている機能です。ひとことで言うと、面倒な作業を“別室にいるもう一人のAI”に丸投げして、結論だけ受け取る仕組みのこと。
ふだんあなたが話しているのが「本体のAI」。そこから「これ調べておいて」と別のAIに振ると、そのサブエージェントが裏で(あなたには見えない別のチャットで)作業して、要点だけを報告しに戻ってきます。
大事なのは、このサブエージェントがあなたとは別のAIで、自分専用のまっさらな記憶を持っていること。本体とは記憶を共有せず、作業が終わると結論だけ報告して、その別チャットは消えます(散らかった中身ごと片付く)。
図1|サブエージェントは別室(別チャット)で働き、結論だけ持ち帰る
第2章
いちばんの価値は「あなたの会話(机)が散らからない」ことです。ここを普通のチャットと比べます。
| 普通のチャット(自分の机で全部やる) | サブエージェント(別室に出す) | |
|---|---|---|
| 作業の場所 | 調べた資料も途中経過も、全部あなたの会話に積み上がる | サブエージェントが別室で散らかしながら作業する |
| 返ってくるもの | やり取りの全部が画面に残る | 結論の紙1枚だけが返る |
| その結果 | やるほど散らかって本筋が埋もれ、AIも情報過多で集中力が落ちる・前の話を忘れる | あなたの会話はきれいなまま・速い・集中が続く |
さらに、普通のチャットは1つずつしか進められませんが、サブエージェントは複数のサブエージェントを同時に走らせられます。「Aを調べるサブエージェント」と「Bを校正するサブエージェント」を並行で動かして、終わった順に結論を受け取る——という使い方ができます。
第3章
身構える必要はありません。やりたいことを普通に伝えるだけです。
| 頼み方 | どういうことか |
|---|---|
| ① ふつうに頼む 何も意識しない | Claude Codeが勝手に判断して使う 「この資料を全部読んで要点だけまとめて」→ 重いと判断したら自動で別室に出す |
| ② 別室に出せと言う 確実に出したいとき | こちらから一時的に頼む 「サブエージェント使って調べて」→ その場かぎりで別室に出す |
| ③ サブエージェントを作っておく 同じ仕事をくり返すとき | スキルや知識を持たせたサブエージェントを、保存しておく 一度作れば「台本作って」だけで起動。5本同時に走らせることもできる |
~/.claude/agents/ に置いたサブエージェントは、Coworkからは見えないためです。Coworkが読むのはclaude.aiアカウントと同期する「Customize」の設定(スキル・プラグイン・コネクタ)で、パソコン内のフォルダではありません。①と②はその場かぎり、③は作って残しておくやり方です。同じ仕事をくり返すなら③が本命になります。毎回ゼロから説明しなくてよく、品質もブレません。
サブエージェントには、2種類あります。
| サブエージェントの種類 | どこで使えるか |
|---|---|
| 最初から備わっているサブエージェント (調べ物係など。何も用意しなくても使える) | どのフォルダでも使える |
| 自分で作った案件専用のサブエージェント (作り方は第4章) | その案件のフォルダで作業しているときだけ |
ですので、フォルダを間違えても機能そのものが消えるわけではありません。変わるのは次の2つだけです。
画面によって決め方が違うだけで、考え方はどれも同じです。1つのチャットにつき、担当するフォルダが1つ決まっている——これだけです。
| 使っている画面 | 作業フォルダの決まり方 |
|---|---|
| デスクトップ版 | 新しいチャットを作るときに「プロジェクトフォルダ」を選ぶ。そのチャットは最後までそのフォルダを担当する |
| VS Code | 「フォルダを開く」で開いているフォルダ |
| ターミナル(黒い画面) | Claude Codeを起動したときにいたフォルダ |
dev)で確認できます。第4章
「調べ物係」「台本を書く係」といった専門のサブエージェントは、どんな役割で・何をしていいかという指示書を持っています。その正体は、1枚のテキストファイル(.md)です。特別なアプリは要りません。
| 置き場所 | どこから使える | たとえ |
|---|---|---|
プロジェクトの中.claude/agents/ | そのフォルダを開いたときだけ | 現場に置く専用マニュアル |
全体共通~/.claude/agents/ | どのフォルダでも | 道具箱に入れて持ち歩くマニュアル |
これは教材「AIの第二の脳を作る」で出てきた「コーポレート(.claude)=どこでも効く/事業部(dev)=その案件だけ」の分け方と、まったく同じ考え方です。全社で使うサブエージェントは道具箱(~/.claude)へ、その案件専用のサブエージェントはプロジェクトの中へ置きます。
図2|サブエージェントの指示書の置き場所 — 道具箱(全体)か、プロジェクトの中(その案件だけ)か
ファイルの中身は、上が設定・下が指示本文という決まった形です。上の設定部分(区切り線 --- で囲む)に、名前・役割の一言説明・使ってよい道具などを書きます。
図3|指示書(.md)の中身 — 上が設定、下が「あなたは〇〇の専門家です」の本文
tools(使ってよい道具)で「このサブエージェントは読むだけ・書き込み禁止」といった制限もかけられます。役割を絞った安全なサブエージェントを用意できるわけです(→ 第8章で詳しく)。
指示書には skills(スキル)という項目も書けます。tools と名前が似ていて混ざりやすいので、整理しておきます。
| 項目 | 渡すもの | たとえるなら |
|---|---|---|
tools | できること(読む・書く・検索する) | ハサミやペンなどの道具 |
skills | 決まったやり方(手順) | 業務マニュアル |
skills に書いておくと、そのサブエージェントは起動した瞬間から、その手順を頭に入れた状態で始まります。毎回ゼロから説明しなくて済む、ということです。
tools の中に Skill が入っていないと、そのサブエージェントはスキルを一切使えません。「スキルを使わせたいのに動いてくれない」ときは、たいていここが原因です。この .md を手で書く必要はありません。ふつうの日本語で頼めば、AIが中身を組み立ててファイルまで用意してくれます。いちばん短い頼み方はこれです。
これだけでも作れます。ただし細かいところはAIが勝手に決めるので、あとで直すことになります。最初に4つだけ添えると、直しがぐっと減ります。
| 添えること | なぜ効くのか | 指示書のどこになるか |
|---|---|---|
| ① 何をする係か | 役割と手順が決まる | 本文 |
| ② 自分が言いそうな言葉 | これで呼び出される。名前を覚えなくてよくなる(第6章) | description |
| ③ やらせないこと | 道具を減らして事故を防ぐ(第8章) | tools |
| ④ どこに置くか | どこから呼べるかが決まる | ファイルの置き場所 |
実際の依頼文にすると、こうなります。そのまま真似できる形で載せておきます。
図4|依頼文の例 — 箇条書きで渡すだけでよい
skills)。社内の決まったやり方がある仕事は、これを添えると毎回の説明が要らなくなります。できあがったサブエージェントは、使いながら直します。直すときも、ファイルを開く必要はありません。
| 困ったこと | こう言えばいい |
|---|---|
| 頼んだのにサブエージェントが動かない | 「“〇〇して”という言い方でも反応するようにして」 |
| 勝手に書き換えてしまう | 「このサブエージェントは書き換えできないようにして」 |
| 調べすぎて時間と費用がかかる | 「調べる回数に上限をつけて」 |
| 報告の形がバラバラ | 「毎回この形の表で返すようにして」 |
agents フォルダ)をその時はじめて作った場合は、アプリを再起動しないと認識されません。2体目以降は再起動不要で、数秒後には使えます。「作ったのに呼べない」ときは、まずここを疑ってください。第5章
サブエージェントは別室で働くので、そのままだと中で何をしているのか見えません。「変な方向に進んでいないか」「まだ終わらないのか」は気になるところです。
デスクトップ版のClaude Codeなら、画面の右側に稼働状況を出しておけます。
サブエージェントが動き出すと、入力欄の下にも「◯件の実行中タスク」というリンクが出ます。そこを押しても同じものが開きます。
図5|バックグラウンドタスク — 別室の様子はここで見る
複数のサブエージェントを同時に走らせても同じ一覧に並びます。誰がどこまで進んでいるかが一目で分かり、おかしいと思ったら個別に止められます。「丸投げしたきり戻ってこない」という状態にはなりません。
第6章
専門のサブエージェントを作ると名前が付きますが、その名前を覚える必要はありません。「この仕事はこのサブエージェントだ」と判断しているのは、指示書の description(役割の一言説明)だからです。
ということは、description に「自分が言いそうな言い回し」を書いておけばいいわけです。
図6|description には「自分が言いそうな言い方」を書いておく
こうしておけば、「これ本当?」と普通に聞くだけでサブエージェントが動きます。逆に description が「ファクトチェッカー」の一言だけだと、呼ばれるべき場面で呼ばれません。
description に無いだけです。「今の言い方でも反応するようにして」と頼めば1行足されます。使いながら育てるのが正しい付き合い方です。なお、スキルもまったく同じ仕組みで呼び出されます。/コマンド名 を覚えていなくても、普段の言葉で発動します。
第7章
サブエージェントには2通りあります。その場で頼むだけのサブエージェントと、指示書(.md)を用意した専門のサブエージェントです。作り込む前に、線引きを押さえておきます。
| その場で頼むサブエージェント | 指示書を作ったサブエージェント | |
|---|---|---|
| 指示の出どころ | その時に伝えた数行 | 用意したファイル(数十〜百数十行) |
| 毎回同じか | 頼み方しだいでブレる | いつも同じ |
| 失敗を学べるか | その場限り。次には残らない | 書き足せば次から効く |
| チームで共有 | できない | GitHubで全員に配れる |
| 準備の手間 | ゼロ | 最初に作る手間がある |
決定的な違いは「積み上がるかどうか」です。その場のサブエージェントは、注意点を毎回自分で言い足さないと反映されません。つまり言い忘れたら、その回は無防備になります。
第8章
サブエージェントには tools で道具の制限をかけられます。ここは脱・属人の考え方がそのまま出る部分です。
たとえば「書いた文章をチェックする係」には、読む道具だけ渡して、書き込む道具を渡しません。すると指摘はできるが、勝手に書き換えることが物理的にできなくなります。「余計なことはしないでね」とお願いするのではなく、できない状態にしておく——これが人ではなく仕組みで守るということです。
| 書く係 | チェックする係 | |
|---|---|---|
| 読む(Read) | ✅ | ✅ |
| 書く(Write) | ✅ | ❌ 渡さない |
| Web検索 | ✅ | 用途しだい |
自分が書いたものを自分で見直しても、間違いは見つかりません。これはAIも同じです。実際に、自分の書いた文章をAIに4周チェックさせても35件の違反が残ったという実測があります。「もう直したはず」という思い込みが働くためです。
サブエージェントを動かすほど費用はかかります。抑える方法は4つありますが、効き目には大きな差があります。
| 手段 | 書き方 | 効き方 |
|---|---|---|
| ① 調べる量の上限 | 指示書の本文に 「1件につき検索は2回まで」など | いちばん効く。読み込む量そのものが減る |
| ② 担当モデル | model: sonnet | 単価が下がる |
| ③ 考える量 | effort: medium | 考えすぎを防ぐ |
| ④ 打ち切り | maxTurns: 40 | 暴走したときの保険 |
とくに調べ物のサブエージェントは、放っておくと「見つからないもの」を延々と探し続けます。「1〜2回探して見つからなければ“確認できず”と報告して次へ進む」と書いておくだけで、ムダが大きく減ります。
第9章
| メリット | どういうこと |
|---|---|
| ① 会話が散らからない | 調査や大量のファイル読みを“別室”でやり、結論だけ受け取る(最重要) |
| ② 同時に動かせる(速い) | 普通のチャットは1つずつ。サブエージェントは複数を並行で走らせられる |
| ③ 役割を持たせられる | 「調べ物係」「校正係」など専門のサブエージェントを用意でき、道具の制限もかけられる |
| ④ メインが賢いまま | 余計な情報で気が散らず、本筋の判断の精度が保てる |
実例
ここまでは部品の説明でした。最後に、実際に毎週動いている一式を丸ごと見ておきます。一度頼むと、動画の台本を4本まとめて書き上げる仕組みです。特別なものは1つも使っていません。これまでに出てきた部品を、置き場所どおりに並べただけです。
図7|実際に動いているファイル一式 — 置き場所そのものが役割を決めている
中身の書き方はどれも同じ「ただのテキスト」です。違うのは読み込まれるタイミングで、ここさえ掴めば使い分けで迷いません。
| 層 | いつ頭に入るか | 誰の頭に入るか | たとえるなら |
|---|---|---|---|
| CLAUDE.md AGENTS.md | 常に(開いた瞬間) | メインのAI | 社則(机の上に出しっぱなし) |
| SKILL.md | 頼まれた時だけ | メインのAI | 進行マニュアル(必要な時に棚から出す) |
| agents\ の .md | その人が起動した時だけ | サブエージェント本人 | 職務記述書(本人だけが持つ) |
3つめが特に大事です。ライターの指示書は、メインのAIの頭には入っていません。ライターが起動した瞬間に、本人の頭にだけ入ります。だからメインの会話は最後まで散らかりません。
CLAUDE.md は4行しかありません。中身は実質 @AGENTS.md の1行だけで、本体は隣の AGENTS.md(529行)にあります。なぜ分けたか=AGENTS.md は他社のAIツールも読みにくる共通の名前だからです。ルールの本体は1つにして、Claude Code用には入口だけ置く。こうすると、ツールを乗り換えても指示を書き直さずに済みます。図8|一度の依頼で起きること — 「まず1人で試す」「途中で見せる」が事故を防ぐ
skills の欄を使っていないのか第4章で、指示書には skills(手順書)も書ける、と説明しました。ところがこのライターの指示書は skills を使っていません。代わりに指示本文の中で、起動したら必ずこれを読め、とファイルを名指ししています。
図9|ライターに読ませているもの — 5つとも「手順書」ではなく「素材」
理由は並べてみると分かります。5つとも手順書ではありません。お手本の完成品、業界の事実、口調の好み——すべて材料です。
skills の欄に書けるのはスキル(手順書)だけです。お手本ファイルや事実集は指定できません。読ませたいものが手順書ならスキル欄、材料なら指示本文で名指し——これが使い分けです。第8章の「気をつけてと言うのではなく、持たせない」も、同じ指示書の中で実行されています。
台本を書くのに関係のないファイルは、そもそも触らせない。道具を絞ったうえで、危ないものは名指しで禁止する。この2段構えです。
補足
似た言葉にエージェントチーム(Agent teams)があります。どちらも「AIを複数動かす」仕組みですが、中身はかなり違います。
| サブエージェント | エージェントチーム | |
|---|---|---|
| やり取り | 親に結果を返すだけ。助手同士は話さない | メンバー同士が直接やり取りする。共有のタスク表を取り合う |
| 人間との関係 | 親を通す | 個々のメンバーに直接話しかけられる |
| 費用(トークン) | 少なめ。結果だけ戻る | かなり多い。1人ずつが独立したClaude |
| 向いている仕事 | 結果だけ欲しい作業(調べ物・下読み) | 議論に価値がある仕事(レビュー・仮説の検証) |
実際に動かして確かめた内容です(2026-09-11)。この4つを知らずに始めると、「オンにしたのに何も起きない」で止まります。
| 置き場所 | どうなるか |
|---|---|
| 試したいフォルダの中 | ○ 正解。そのフォルダで作業しているときだけ効く |
| ひとつ上の階層(親フォルダ) | ✗ 効かない。設定ファイルは親フォルダを遡って読まれない |
| 全体共通(~/.claude/settings.json) | ✗ 効きすぎる。どの案件を開いてもオンになり、頼んでいないのにチームが組まれる |
まとめ
~/.claude/agents/、案件専用はプロジェクトの .claude/agents/。作成はAIに頼めばOKdescription)で決まる。稼働中のサブエージェントは「バックグラウンドタスク」で確認・停止できるこの教材の元にしたカリキュラムMD(内容を直すときはこちらも直す):
・setup/claude-code/サブエージェントとは.md(本体)
・(関連)配布資料/second-brain.html(.claude と dev の分け方)/配布資料/slash-commands.html(コマンド地図)
・公式ドキュメント:Claude Code Docs「Subagents」(code.claude.com/docs・2026-07 確認)で置き場所・フロントマター・呼び出し方を裏取り
・2026-08-20 追記分(第5〜8章・第4章の tools/skills)の裏取り元:公式ドキュメント「Subagents」(設定項目 model・effort・maxTurns・skills、検証エージェントの注意点)/「Desktop application」(バックグラウンドタスクの表示)/「Best practices for Claude Code」(いずれも code.claude.com/docs・2026-08-20 確認)
・2026-09-09 追記分(実例の章)の元:実際に稼働している動画台本の生成一式(CLAUDE.md+AGENTS.md/スキル1本/サブエージェント2体)を、そのまま構成図に起こしたもの。個人のフォルダ名・メモリの保存先など環境ごとに変わる部分は伏せ、機能で表記している
・2026-09-11 追記分(補足「先に知らないと必ずハマる4つ」+討論の実例)の元:公式ドキュメント「Agent teams」(code.claude.com/docs/en/agent-teams)と「Settings」(.../en/settings・設定ファイルが親フォルダを遡らない件)を 2026-09-11 に確認。加えて実機で検証=チャットのパネルではメンバーが立たず、ターミナルから起動した場合のみ立つことを 2 日にわたって対比確認し、討論の中身も実際に走らせて記録した