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脱・属人プログラム — 学習ノート

複数人・複数PCで
「第二の脳」を運用するコツ

— 一人の“保険”から、チームの“共有の脳(ハブ)”へ

第二の脳(CLAUDE.md+memory+skillsをGitHubの非公開リポに保管)は、仕組みを変えずにそのままチーム運用へ伸ばせます。作り直しは不要。変えるのは“運用ルール”だけ——非エンジニアのための、会社・複数PCで安全に回す手引き。

2026.07.16 作成 /「AIの第二の脳」の続編(会社・チーム運用編)

この話の結論(3つだけ)
  1. GitHubの非公開リポが「チームの共有の脳(ハブ)」になる
    仕組みは今のまま。他のPCが参加するだけで、みんなが同じ会社ルールでAIを使える
  2. 知識は共有する・鍵は共有しない
    CLAUDE.md/memory/skillsは共有。APIキーやログイン情報はPCごとにローカルで持つ
  3. 本線を触るのは「脳の管理人」1人/自動pushはハブ1台だけ
    この線引きだけで、複数人でも衝突(コンフリクト)がほぼ起きない

CHAPTER 1

まず全体像 — 保険から「共有の脳」へ

一人で第二の脳を使うと、GitHubの役割は保険です(PCが壊れたら戻す)。これを会社・チームで使うと、同じ仕組みのまま「みんなの共有の脳(ハブ)」に格上げできます。GitHubはもともと大勢で1つの物を共有するための道具なので、作り直しはいりません

一人PC(保険)複数PC・会社(共有の脳)
GitHubリポの役割壊れたら戻すバックアップ全員の脳が集まるハブ(本体)
各PCの動き主に「上げる」だけpull で受け取る/push で返す
仕組みの変更なし(同じリポ・同じコマンド)
変えるのは運用ルールだけ(この後の3つ)
たとえ話 共有の脳は会社の“共有の本棚(クラウド)”。各自のPCは、その本棚から本を借りてくる(pull)/自分の書いた分を返す(push)だけ。全員が同じ本棚を見るので、「あの人だけが知っている」がなくなります。=これ自体が「脱・属人」。
GitHub 非公開リポ(共有の脳=ハブ) ↕ pull(借りる) / push(返す) ┌──────────┬──────────┬──────────┐ Aさんのpc Bさんのpc Cさんのpc … 全員が同じ脳を参照

FIG. 中央に共有リポ、各PCがpull/pushでつながる

CHAPTER 2

コツ① 知識は共有・鍵は共有しない(最重要)

共有の脳に鍵やログイン情報を絶対に入れないこと。1回の不用意な操作で全員に鍵が漏れるからです。一人運用よりも、会社運用のほうがこの事故は致命的になります。

GitHubに上げてよい(それぞれの控えリポへ)上げない(各PCにローカルで残す)
会社ルール(CLAUDE.mdの控え).env(APIキー)
記憶(memory)※控えは本人の個人アカウントのリポへ.credentials.json(ログイン情報)
自作コマンド(skills)※同上settings.json(PC固有の許可リスト)
ここが会社運用の分かれ目 一人なら鍵が漏れても自分の問題ですが、共有リポに鍵を入れるとチーム全員が同じ鍵を共有=1人のミスが全員の事故になります。だから「知識は共有・鍵はPCごと」を最初のルールにします。

CHAPTER 3

コツ② 「脳の管理人」を1人置く

複数人が同じファイルを同時に編集して両方pushすると、gitが「どっちが正解?」と衝突(コンフリクト)を出します。エンジニアには日常でも、非エンジニアには怖い。そこで役割を分けます。

なぜ衝突しにくいか memoryは「1ファイル1トピック」で貯まる設計なので、担当を分ければそもそも同じファイルを触りにくい=衝突しにくい。管理人制と相性が良いのはこのためです。

CHAPTER 4

コツ③ 自動pushはハブ1台/他はpull

2時間ごとの自動バックアップ(OSタスクスケジューラ)を全員のPCで回すと衝突の温床になります。

誤解しないで:自動バックアップ自体は“全員”使ってよい この「1台だけ」ルールは“共有の1箱”に対する話だけです。衝突は「同じ箱に複数PCが自動push」した時にしか起きません。各メンバーが“自分の個人脳(memory/skills)”を“自分専用のPrivateリポ”へ自動バックアップするのは、全員がやってOK(箱が別々=衝突相手がいない)。つまり——個人の脳は各自が自動で守る/会社の共有脳だけハブ1台、の二本立てです。

なお、各自の“個人脳リポ”の置き先は1つ=本人の個人アカウントのPrivateリポ(全員・雇用形態を問わず)。理由:memoryはその人の全活動を写す手帳(一本化すると他社案件・私用の文脈も同じノートに溜まる)なので、会社のOrganizationに置くと ①複業・業務委託メンバーの他社案件の情報がうちの箱に自動流入する(逆方向も然り) ②オーナーが全員の手帳を読める=「④個人の脳は自由」と矛盾 ③退職時に“本人の手帳が会社に残る”後始末が発生。会社に残すべき知識はこれで欠けません——会社の資産は「共有脳+各プロジェクトのリポ」で担保する設計で、⑤知見の納品は義務のまま。一般企業のルール「会社のデータは会社の箱にしか置かせない」は業務プロジェクトと共有脳に適用します(こちらはOrganization一択・例外なし)。仕事手帳やペンケースまで会社の金庫に入れる会社がないのと同じ線引きです。

会社運用の全体図 — 教科書と成果は会社の箱・手帳は各自の箱

社員のmemory/skillsを全員共通の1つに混ぜてはいけません(①同じ箱への複数自動push=衝突する ②memoryは“その人の仕事の文脈”を覚える個人の手帳=混ぜると記憶が混線する)。そして混ぜないだけでなく、手帳の箱そのものを会社のOrganizationの外=本人の個人アカウントに置きます

🏢 会社のOrganization(会社に残すべきものだけ・退職しても消えない) ├─ 📦 共有脳リポ(1つ) … “会社の教科書” → 全員pull/更新は管理人 └─ 📦 各プロジェクトのリポ … 成果物と進行メモ(区切りで手動push) 🔒 Base permissions=None → 招待しただけでは何も見えない(見せたいリポにだけ個別付与) 👤 田中さんの個人アカウント(Private・本人しか見えない) └─ 📦 memory-tanaka + 📦 skills-tanaka … 田中さんの手帳 → 本人PCが2hごと自動バックアップ 👤 佐藤さんの個人アカウント └─ 📦 memory-sato + 📦 skills-sato … 佐藤さんの手帳 → 同上 👤 オーナーの個人アカウント └─ 📦 memory-オーナー + 📦 skills-オーナー … オーナー自身の手帳(オーナーも同じ形)
2つの鍵は別のドアPrivate=「外の世界」への鍵——第二の脳は全リポ必ずPrivate(個人アカウント側の手帳リポも)。Base permissions=None=「同じ会社の中の他メンバー」への鍵——Organizationのリポを、招待しただけでは見せない。この2つは別々に効くので、「全リポPrivate + Base permissions None」の二重の鍵がかかった状態がゴールです。

FIG. 会社運用の完成形 — 手帳(記憶・道具)は自分の箱、教科書と成果は会社の箱

共有脳は“オーナーの脳”とは別の箱オーナーも社員と同じく自分専用の手帳(memory/skills)を持ち、共有脳はそれとは別に1箱立てます。個人のmemoryはAIが自動で書き込む個人の手帳(本人の文脈・進行中の案件)なので、共有脳と混ぜると「オーナーの個人的な記憶が全員に配られる」「教科書にノイズが混ざる」の両方が起きます。共有脳=全員に配る前提で意図して整えた知識だけを置く場所。

社員同士でナレッジを使いたいとき(回し方)

社員Aが社員Bの知見を使いたい場合、Bの脳を直接覗くのではなく、共有脳を経由します。

佐藤さんの脳に良い知見が溜まる → 「これ全社で使えます」と管理人に渡す (Claude Codeに「この知見を共有用にまとめて」と頼めば整形してくれる) → 管理人が 📦共有脳リポ へ追加(=“昇格”) → 田中さんは次の pull で受け取って使える

直接覗かせない理由は権限だけではありません。個人のmemoryは“その人の作業文脈の手帳”で、他人が読む前提で書かれていない(「例の件は△△で対応」は本人にしか分からない)。他人に使わせる知識は、共有用に整えて共有脳へ。どうしても必要なら、オーナーは権限で「特定のプロジェクトリポを特定の人に見せる」こともできますが、基本は共有脳経由が正解です(なお脳リポは各自の個人アカウントにあるため、オーナーにも見えません)。

基本のリズム: 使う前に pull → 作業 → (管理人が)push 最新を取り込む いつも通り 共有の脳へ返す

FIG. 全員が守る1本のリズム

CHAPTER 5

「管理人が退職したら?」— 本当の急所はリポの持ち主

「ハブPCの人が辞めたら脳が消えるのでは」と心配になりますが、向きが逆です。ハブPCは“データの本体”ではありません。

本当に危ないのは1つだけ=リポの所有権 リポが退職者の個人GitHubアカウント所有だと、退職と一緒に箱ごと持っていかれる/消されるおそれがあります。対策:会社運用では、リポを個人アカウントでなく GitHubの「Organization(会社所有の団体アカウント)」に置き、社員は「メンバー」として招待するだけにする。退職時はメンバーから外すだけ——箱(脳)は会社に残ります。=箱は会社のもの・人は係。なお、リポの所有者が社長(会社のトップ)本人なら、個人アカウント所有でもこのリスクは実質ありません(箱が最初からトップの手元にあるため)。

招待のやり方は2通り——A. 個人アカウントのまま Collaborator 招待(今すぐ・ただし読み取り専用にできないので「メンバーはpushしない」はルールで守る)/B. 無料の Organization を作って移す(Readロールでpull専用を仕組みで強制できる)。推奨はまずA → 必要になったらB。クリック手順は教材「はじめてのGitHub設定(補足D:複数人で使う)」にまとめてあります。

補足:エンジニアが揃った会社では そもそも「自動バックアップ」という仕組み自体が要りません(pushが日常業務の一部だから)。2時間ごとの自動pushは、push習慣のない非エンジニアの知識運用向けの工夫。エンジニア中心のチームなら「1日の終わりに自分でpush」をルール化するだけでもOKです。

CHAPTER 6

衝突が出たら — 慌てない・予防が9割

予防が9割 ①使う前に pull ②担当を分ける(1ファイル1トピック) ③本線を触るのは管理人 —— この3つでほぼ起きません。衝突は「同時に同じ所を書いた」時だけ起こるので、そもそも重ならない運用にするのが正解。

CHAPTER 7

段階的に始める(pull専用から)

いきなり「全員が本線に自由にpush」は非エンジニアには難しい。pull専用から始めて、少しずつ書き手を増やすのが安全です。

  1. まず管理人1人が今の第二の脳をそのまま運用(一人PCと同じ)。
  2. 他メンバーは git clone して pull 専用(読む・使うだけ)。ここまでで「全員が同じ会社ルールでAIを使える」が実現し、衝突ゼロ。
  3. 慣れてきたら担当を分けて一部メンバーもpush(1ファイル1トピックで衝突を避ける)。

CHAPTER 8

新しいメンバーの迎え方 — 強制と自由の線引き

メンバー(特に、既に自分のやり方を持つエンジニア)に第二の脳を“押し付ける”と嫌がられます。原則は「アウトプット(知見の納品)は義務・ツール(個人の脳の作り方)は自由」

内容強制していい?
① 組織に入る業務リポは会社のOrganizationに作る✅ 当然(会社のGitHubを使うだけ)
② 秘密の作法鍵を上げない・チャットに貼らない✅ 強制OK(常識・誰も嫌がらない)
③ 共有脳をpull会社の共通ナレッジを参照○ 推奨(本人の得になる)
⑤ 知見を共有脳に残す業務で得たナレッジを共有脳へ(方法は自由:PR/管理人に渡す/botに報告)✅ 強制OK(=業務報告の一種。日報・引き継ぎ書と同じ“納品物”)
④ 個人の第二の脳自分のmemory/skills・自動バックアップ強制しない(個人の生産性ツール)
プロジェクトの決まりごとは memory に書かない(書き分けの1ルール)メンバーのmemory(個人の手帳)は本人にしか見えず、本人が抜けると会社に残りません。だからチームで共有すべきプロジェクトの決まりごと・進行メモは、そのプロジェクトのフォルダ直下の CLAUDE.md や ◯◯.md に書く——これらはリポと一緒にGitHub(会社の箱)へ上がるので、担当が変わっても消えません。普段の運用は今まで通り「プロジェクトをpushする」だけでこの分も一緒に残ります(memoryは各自2時間ごと自動push=指示不要)。
⑤と④の違いが分かりにくい? →「成果物」か「道具」か⑤=仕事の成果物(「商談で得たノウハウを会社に報告して」=義務)。④=個人の道具(「あなたの手帳をどう書くか・そもそも持つか」=自由)。ポイント:⑤は④を使っていなくても果たせる——手帳(memory)を持たない人でも「管理人に伝える」「botに報告する」で知見は納品できる。だから「④は自由・⑤は義務」が両立します。

知見の残し方(非エンジニアもできる・最後は管理人が承認)

個人のmemory/skillsを“そのまま”共有脳にアップはしません(個人の手帳は本人にしか読めない書き方だから)。共有用に整えた1枚のMarkdownにしてから入れます。整えるときの注意が1つ:共有脳に入れる知見は“それだけ読めば分かる完結した形”で書くこと。個人memoryのような「詳細は◯◯リポを見ろ」という付箋型のままだと、そのリポを読む権限がないメンバーには役に立たない(権限は最小限が基本のため)。方法は難易度順に3つ——どれでもOK:

方法やり方向き
a. 管理人に送るチャットで「これ共有脳に入れて」と内容を送る → 管理人が整形して追加全員・初日から(一番簡単)
b. AIに頼んでPRClaude Codeに「この知見を共有用にまとめて、共有脳リポにPRで出して」→ AIがブランチ作成→PR提出まで全部代行
※この方法はWrite権限が必要(標準は全員Read)。使いたい人は管理人に言えば付与
少し慣れた非エンジニア
c. 自分でPRMarkdownを書いてPR(合流申請)エンジニア

PR=「この追加を本線に入れてください」という申請(承認制の投書箱)。a/b/cどれでも最後に管理人が承認(マージ)して初めて共有脳に入るので、共有脳が荒れません。

権限と中身の補足(3つ)None=初期値ゼロというだけ。shared-brainには全メンバーに権限を付与する(付与しないと読めない)。推奨のデフォルト=まず“全員Readのみ”(設定が全員同じでシンプル・承認が一元化)。AIにPRを出させたい人(ガチのエンジニア等が希望したら)にWriteを足す。※無料プランの非公開リポは「main直接push禁止」を機械的に強制できないので「本線は触らずPRで」はルールで守る。②昇格は基本形=メンバーの納品(上のa/b/c・方法自由)。補助形として、オーナーはOrganization内の全リポを見られるので、各プロジェクトのリポ(CLAUDE.md・進行メモ・仕組み)をAIに読ませて“共有価値あり”を抽出→まとめ→最後に自分の目でチェック→共有脳へという吸い上げもできる(読まれる前提で書かれたプロジェクト内の.mdは材料として上等)。個人の手帳(memory/skills)は各自の個人アカウントにあり吸い上げの対象外(文脈依存で質が低い・監視っぽさを避ける)。③共有脳の中身は索引+1テーマ1ファイルのMarkdownで、Claude Code専用ではない(Codex・Cursor等どのAIでも読める)。ただし個人memoryと違い自動では読まれないので、CLAUDE.mdに1行書いて参照させる(全プロジェクトで効かせるなら~/.claude/CLAUDE.mdへ)。設定は1回だけ・以後は実質全自動——1行を「共有ナレッジは C:\dev\shared-brain を参照。参照する前に git pull で最新化すること」と書いておけば、最新化(pull)もAIが毎回自動でやる(pullは“読むだけ”なので全員が何度やっても安全)。メンバーの手作業は「最初にclone+この1行」の1回きり。

迎え入れの順番 — 個人アカウント → 即・組織 → 最初の作品から組織へ

組織に入るにも個人アカウントが必須(招待は個人アカウント宛て)。だから順番は一本です:

1. 個人GitHubアカウントを作る(github-setup教材・5分)← 全員必須 2. すぐオーナーが Organization に招待 → 本人が承認(ロールは通常 Member) 3. 最初に作ったものから、組織の中のリポに push

「個人リポで練習してから」は挟まない——①ルールが1本になる(業務で作るものは最初から会社の箱・例外なし。後から移すのは手戻り&忘れる)②git操作は組織内でも全く同じ ③初日から「会社の資産を作っている」意識になる。個人アカウントは私物・個人の学習メモ・自分の第二の脳の控え(memory-〈名前〉/skills-〈名前〉)の置き場として並存(=業務=組織/私物と手帳=個人)。共有脳がまだ空でも、組織の中で作らせるだけで「退職しても残る・開発物が会社に貯まる」=それだけで導入価値があります。※招待画面の「SAML single sign-on(Enterprise 30日トライアル)」の勧誘や「Invite a billing manager」は不要・無視してOK。

渡す物は相手で変える(プロンプトは2本作らない)

参加ガイドのコピペ用の雛形はカリキュラム setup/github/メンバー参加ガイド_雛形.md にあります。置き場所=共有脳リポのREADME(メンバーがcloneした瞬間に最初に読む場所)。会社名を差し替えてそのまま使えます。

ライト層は「Claude Code契約なし」でも参加できる(2階建て)

全員にClaude Codeを契約させる必要はありません。

社員 ── Slack / Discord で報告・質問 ──▶ 常駐エージェント(VPS・会社のAPI契約1つ) ├─ 共有脳リポを参照して“会社を分かった”回答 └─ 報告から知見を抽出 → 共有脳へ(管理人が承認

FIG. 2階建て — ライト層はbot経由(契約不要)/作る人だけClaude Codeの席

注意3つ①botの中身はAPI従量課金(会社持ち)。②bot経由では“その人のPC内の作業”はできない——作る人には席が必要。③botが共有脳へ書き込むなら管理人承認を挟む(=「自動pushはハブ1台」原則の適用)。

なお「ライト層がSlackでAIを使う」だけなら、自作せずAnthropic公式の「Claude Tag」を使う道もあります(Claude Team/Enterprise契約が必要・導入はSlackアプリを追加するだけ)。自作の常駐エージェントとの向き不向きの比較は教材「Slackで誰でもAIを使う「Claude Tag」」へ。

おまけ:クラウド実行(スマホ/Web版)との関係

Claude Codeには「Local(自分のPC)/クラウド(Claudeのサーバー)」の実行場所の選択がありますが、チーム運用のためにクラウドを選ぶ必要はありません(各自Local+共有リポのpull/pushで完結)。知っておくのは2点だけ:①クラウド実行はGitHubからリポを取り込んで動くため、各自のPCの~/.claude(個人の脳)は読まれない——第二の脳の恩恵をフルに受けるのはLocal実行で、クラウドの成果はブランチ→PRで返る。「脳はGitHubにバックアップしてあるから読めるのでは?」も誤解で、クラウドが取り込むのは“作業対象のリポ1つ”だけ。バックアップリポを勝手に取りに行く仕組みはなく、「起動時に~/.claudeを必ず読む」という組み込みの習慣はローカル専用(バックアップ=保険箱に控えを預けてあるだけで、支社のAIが毎朝取りに行ってくれるわけではない)。②ただしリポの中に置いたCLAUDE.mdはクラウド実行でも読まれる(公式仕様)=「どの環境でも全員に効かせたい会社ルール」は共有リポ内のCLAUDE.mdに書くのが正解。

一言まとめ 仕組みは今のままでチームに伸びる。変えるのは運用ルール3点=①秘密はPCごとに残す ②脳の管理人を1人置く ③自動pushはハブ1台(他はpull)。迷ったら「知識は共有・鍵は共有しない」「本線を触るのは管理人」。この2つだけ守れば事故りません。

CHAPTER 9

早見表 — 1人運用から会社運用へ、変わる設定と「AIが読むもの」

1人運用と会社運用で「変わる設定・注意点」早見表

同じ仕組みでも、1人(①)と会社(②)では設定と注意点が少し変わります。移行するとき・教えるときはここを見直す:

①1人②会社(複数人)
箱の場所全部、自分の個人アカウント共有脳・プロジェクト=OrganizationBase permissions=None(作成直後に必須)。自分の脳の控え=①と同じ個人アカウントのまま(手帳は人に付く)
ルール(CLAUDE.md)~/.claude/CLAUDE.md(自分のPC)の1つ①のものはそのまま+会社のルールが1つ増える:自分のルール=①と同じ~/.claude/CLAUDE.md/会社のルール=共有脳リポの中のCLAUDE.md(cloneするとC:\dev\shared-brain\CLAUDE.mdとしてPCに来る)。→ 何がどこにあるかは、すぐ下の整理表
記憶(memory)の読み込み個人memory=自動(MEMORY.md自動読み)①と同じまま変わらない(自分のmemoryは自動で読まれる)。増えるのは会社の知識(共有脳)で、これだけは自動では読まれない→ 必要な時にAIがpullして読みに行く(CLAUDE.mdの参照1行で誘導)
自動バックアップ(push)自分のリポへ自動でOK自分の脳リポ(個人アカウント宛て)=自動OK/共有リポへの自動pushはハブ1台だけ。共有脳への追加は、管理人がメンバーの知見(チャットで受け取る・プロジェクトリポから拾う)を手動でpushするのが基本形(慣れたら仕組みを作って自動化も可能)
権限—(全部自分)Base permissions=None =「メンバーを招待しただけでは、どのリポも1つも見えない」状態から始める設定(見せたいリポにだけ、後から個別に権限を足す方式)。そのうえで共有脳リポにだけ全員Readを付与(推奨:まずReadのみ。Writeはエンジニアが希望したら)
知見の共有(昇格)—(全部自分の脳)基本形=メンバーの納品(方法自由)/補助形=オーナーがプロジェクトリポから吸い上げ→自分の目でチェック→共有脳へ。※メンバーの義務は「知見を会社に残すこと」だけで、残し方は自由(チャットで管理人に送るだけでもOK)。脳(memory/skills)は2時間ごとの自動バックアップ(自分の個人アカウント宛て)で勝手に残るので、メンバーが自分の手で必ずやるのは担当プロジェクトのリポへのpushくらい

ごちゃつき防止の整理表 — ②のとき、メンバーのPCで「AIが読むもの」は5つ

「CLAUDE.mdが2つ?共有脳の中には何が入ってる?」と混乱しやすいので、実物の場所で整理します:

実物のある場所AIはいつ読む
① 自分のルール~/.claude/CLAUDE.md毎回自動
② 自分の記憶(memory)~/.claude 配下(目次MEMORY.md+メモ群)目次を毎回自動
③ 会社のルールC:\dev\shared-brain\CLAUDE.md(共有脳リポの一部。cloneでPCに来る)普段は①に書いた1行から読みに行く(shared-brainの中で起動した時は自動)
④ 会社の知識C:\dev\shared-brain\knowledge\(目次INDEX.md+テーマ別.md)自動では読まない。必要な時にAIが git pull→参照
⑤ プロジェクトのルール各プロジェクトフォルダ直下の CLAUDE.mdそのフォルダで起動した時に自動(リポと一緒に配れる=クラウド実行でも効くのはこれ

※共有脳リポ(shared-brain)の中身は③と④だけ個人のmemory・MEMORY.mdは共有脳には入っていません(それは②=各自の~/.claudeにあり、控えは各自の個人アカウントのmemory-◯◯リポへ自動push)。ファイル単位の完全な地図は → 教材「AIの記憶と第二の脳」の“完全版の完成形”の図

役割分担の確定版マトリクス — 誰が何をするか(1枚)

役割手帳のバックアップ
(→自分の個人アカウント)
Organization共有脳プロジェクト知見の納品
代表(管理人)する作成・権限管理作成・設定・本線pushOrgに作る承認する側+自分も納品
メンバー
(Claude Codeで開発する人)
する(推奨。初回だけ“送る中身(.mdのみ・秘密なし)”を見て確認→以降自動)参加clone+pull(AIが自動)Orgに作る・push義務(方法自由)
エンジニア任意(自分のやり方でよい)参加clone+pullOrgに作る・push義務(方法自由)
ライト層
AIによる開発はしないメンバー。Slack/Discordで報告・質問だけ)
(不要な場合も)botが代理参照義務(チャット/bot報告)
全員共通セキュリティ(deny設定・.gitignore・鍵をチャットに貼らない)+CLAUDE.mdの整備

※手帳のバックアップは標準手順に含める(初期設定プロンプトが実施する)が、強制ではない(④個人の脳は自由の原則。嫌なら飛ばせる。ただしPC故障で脳が消える保険なので非エンジニアには勧める)。

規模の節目 — 「このサインが出たら見直す」早見表

この設計(Free・Base permissions=None・手帳は個人アカウント)は、オーナー中心で「開発する人が数人まで」の組織に合わせた形です。寿命は組織の人数ではなく、下のサインが出たかどうかで決まります(各行は独立したサイン・上から順に来るとは限らない。サインが出るまで先回りして作り込まない):

節目(このサインが出たら)検討すること目安コスト
今(どのサインも出ていないうち)現行設計のまま。組織の総人数は関係なし(開発する人が1〜2人なら20人の会社でもこのまま)。ただしOrgのオーナーをもう1人追加する作業(Settings→People→Ownerロールで招待・数分)だけは今すぐ(1人に何かあっても会社の箱に触れる人を絶やさない)無料
Claude Codeで開発する人が3〜4人になった「今週の学び」の報告集め(声かけ・回収・未回答リマインド・共有候補リスト)を自動化する。週1の決まった時刻に聞くだけなら定期実行=サブスクの範囲内で可。いつでも話しかけられる常駐botにするならAPI従量(会社持ち)サブスク内〜API従量
共有脳のWrite(書き込み権。AIに「PRで出して」と代行させるのに必要)を持つ人が自分以外に2人以上になった/mainへの誤push事故が1回でも起きたGitHub Teamへ:ブランチ保護=「本線はPRのみ」をルールでなく機械で強制できるようになる$4/人・月
取引先のセキュリティ調査票・ISMS等の認証取得・上場準備で「ログインの統制」を求められたGitHub Enterprise(SSO)へ:会社のID基盤でログインを統制・監査ログ。メンバーは個人アカウントのまま、入口に会社の関門を付ける約$21/人・月
取引先や規制から「業務情報を個人アカウントに置くこと自体の禁止」を明文で要求された(=自発では来ない外圧の行。未上場・小規模ではまず不要)EMU(会社発行アカウント):既存Orgへの招待ではなく、Enterprise配下にOrgを作り直してリポを移行する“別世界の新設”。手帳の置き先ルールも再設計になる約$21/人・月+移行の工数

※上2段は運用の話・下3段はGitHubの契約プランの話。下に行くほど「信頼で回す」から「仕組みで縛る」へ変わります。料金は2026-07時点=変わりやすいので契約前に公式確認を。