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脱・属人プログラム — 学習ノート

Claude の Chat・Cowork・Code、
どう違う?どう使い分ける?

— 同じ頭脳・3つの入口。「相談は Chat/事務は Cowork/開発は Code」を1枚で

Anthropic の Claude には、目的の違う「入口」が3つあります。この教材では、非エンジニアの相棒 Cowork と、開発・自動化のフル装備 Code の違い・境界・使い分け、そして安全に使うための注意までを、専門用語ぬきで整理します。

2026.07.23 作成 / 内容は公式ドキュメント(Anthropic)で確認

この話の結論(3つだけ)
  1. 中身のAI(頭脳)は同じ。違うのは「入口」と「得意分野」だけ
    Chat・Cowork・Code は同じデスクトップアプリの中の3つのタブ。同じ契約で全部使える
  2. 事務・資料づくり・ファイル整理なら Cowork(黒い画面いらず)
    Excel・PowerPoint・PDF を直接作る。まずここから始めるのが失敗しない
  3. 開発・無人で回す自動化システムを自作したいなら Code
    コード・Git・テスト・24時間の仕組みづくり。迷ったら Cowork から入り、必要になったら Code へ

はじめに

同じ頭脳、違う3つの入口

CHUI このページの「Cowork」は Claude の Cowork です。 Microsoft も2026年6月から Copilot Cowork という同名の製品を出していて、まったく別物です(あちらはOutlook・Teams・Officeの中で動きます)。会話の中で「Coworkが」と言われたら、どちらのCoworkかを確認してください。Microsoft側は Copilotは結局なにをしてくれるのか にまとめています。

「Code と Cowork、どっちがすごいの?」とよく聞かれますが、この問いは少しズレています。両方とも中身のAI(頭脳)は同じで、違うのは入口(画面)得意分野だけだからです。同じ人が、作業着で現場に出るか、スーツでオフィスにいるか——服(入口)が違うだけで、中の人は同じ、というイメージです。

Claude には、目的の違う入口が3つあります。どれも同じ Claude デスクトップアプリの中に、タブとして並んでいます。

入口どんな場面画面
Chat
(チャット)
アイデア出し・調べもの・壁打ち。一問一答の相談いつものチャット(ブラウザ/アプリ)
Cowork
(コワーク)
事務・資料づくり・ファイル整理。手を動かす作業をまるごと代行デスクトップアプリ(普通の画面/ボタン操作)
Code
(コード)
開発・システムづくり・無人の自動化ターミナル(黒い画面)・VS Code など
たとえるなら1人の超優秀な助手がいて、3つの呼び出し口がある。玄関のインターホン(Chat)で軽く相談、応接室(Cowork)で資料を作ってもらい、作業場(Code)で機械の組み立てを任せる。呼ぶ場所で「できること」と「任せ方」が変わるだけで、助手そのものは同じ。

「結局どう違うのか」を、もう一歩ふみこんで1枚にまとめると、こうなります。まずはここだけ押さえれば十分です。

 ChatCoworkCode
やること相談・調べもの・壁打ち(一問一答)手を動かす実作業の代行(資料づくり・ファイル整理・分析・送信)開発と、無人で動く自動化の仕組みづくり
成果物・ファイル会話の文章だけ(ファイルは作らないパソコンのフォルダの中のファイルを直接作成・編集(Excel・PPT・PDF など)プログラム・自動化の仕組み(PC全体を操作)
触れる範囲と安全ファイルは触らない許可したフォルダだけ/実行前に承認を待つ=安全柵が標準装備範囲に制限なし/柵(触らせない設定)は自分で用意=自己責任
こんな時にサッと聞きたい資料づくり・繰り返し作業アプリ開発・無人の自動化

まず触るなら、安全柵が標準で付く Cowork から始めるのがおすすめです(→ 詳しい違いは第1章以降で)。

大事な前提を先に。Pro(月20ドル)以上のプランに入れば、Chat・Cowork・Code の3つすべてが使えます。製品ごとの追加契約は要りません(※公式ドキュメントで確認済み)。だから「まず Cowork で慣れて、必要になったら Code」という移り方に、お金の追加はかかりません。

はじめに・補足

チャットと Cowork の違い
— 同じ依頼でも“動き方”が変わる

「同じことをチャットで頼んだ場合と、Coworkで頼んだ場合、何が違うの?」という質問をよく受けます。ここがいちばん誤解されるところです。出てくる“答えの中身”そのものより、「どう動くか(動き方)」の差が大きい——これが結論です。頭脳は同じなので、たとえば「人材業界トップ3の売上推移と戦略を比較して」のような一問一答レベルなら、答えの質はどちらもほぼ同じになります。

具体例で「上場している人材大手3社の売上を6年分と、各社が最近力を入れていることを比較表にして」——この依頼をチャットでやると、Claudeがデータを1回ずつ取りに行き、返ってきた中身をその場で読んで、会話の中に表を書きます。あなたが画面を見ている“その瞬間だけ”処理が進み、成果物は会話の中のテキスト(Markdownの表)です。これで十分ペイする作業も多い。

チャットと Cowork、動き方の違い

観点チャット(Chat)Cowork
実行のしかた1リクエスト=1往復。結果が返るまで待つ(見ている間だけ進む)タスクを渡して離席できる。リモート実行なので、ラップトップを閉じても作業は続く
進め方Claudeが逐次判断。1本の流れで順に進める複雑な作業をサブタスクに分割し、複数のワークストリームを並列で調整(3社を同時に掘る、のような動き)
成果物チャット内のMarkdownの表・テキスト(コピペして使う)数式入りのExcel・PowerPoint・整形済みドキュメントを生成し、ローカルフォルダに直接書き出す
反復・定期化そのつど聞き直しルーティン(定期実行)を予約でき、PCを起動していなくても走る
コスト(利用枠)通常の消費マルチステップで計算量が多いぶん、チャットより利用枠を多く消費する
どっちで十分?(判断の目安)「3社×6年+戦略要約」くらいの一往復で片づく調べもの・比較なら、チャットで十分ペイします。Coworkが効いてくるのは、たとえば「人材業界の上場20社を全部データベースから取って、セグメント別・KPI別に整理した .xlsx とサマリーの .pptx を吐き出す」「それを四半期ごとに自動で回す」——のように、明らかに往復が増える/成果物がファイルになる/定期実行したい作業です。“答えが欲しいだけ”はチャット、“動くファイルや繰り返しが欲しい”は Cowork、と覚えてください。
2026年8月に変わった点:メモリ(記憶)は共有されるようになった以前は「チャットで覚えたことはCoworkに引き継がれない」が正解でしたが、2026年8月25日にチャットとCoworkのメモリが統合されました(公式リリースノート「Memory now works across chat and Cowork in the cloud」)。チャットで積み上げた前提をCowork側で説明し直す手間が減ります。ただし例外が1つ——自分のPCの中で動かすCoworkセッションは対象外(共有されるのは「クラウドで動かすCowork」だけ、と公式に明記)。こちらは今までどおり、プロジェクトの指示やファイルで渡す必要があります。

メモリ(記憶)の仕組みを、もう少し詳しく

「前に教えたのに覚えてない」を防ぐには、記憶の“単位”(アカウント全体か、プロジェクトごとか)と“どこで動かしたか”(クラウドか、自分のPCか)の2つを分けて理解しておきます。

チャットのメモリ
アカウント単位。あなた自身のことや案件の前提を Claude が自動で書き溜め、どの新規チャットでも最初から読み込まれます。プロジェクトに入っていなくても効きます。
Coworkのメモリ
プロジェクトごとに独立。各プロジェクトが独自のファイル・指示・メモリ(+そのプロジェクト専用の要約)を持ち、同じプロジェクト内の次のタスクには引き継がれますが、別プロジェクトには波及しません。ここは今回の更新後も変わりません。
両者の関係(2026年8月25日〜)
クラウドで動かすCoworkなら、チャット側の記憶がそのまま使えます(公式ヘルプが明記しているのはこの向き。発表自体は「チャットとCoworkでメモリが1つになった」という統合のお知らせです)。ただし自分のPCで動くCoworkセッションでは共有されません——ここも公式に明記されています。
 記憶の単位プロジェクト外で効くかチャットとの共有
チャットアカウント全体効く
Cowork(クラウドで実行)プロジェクトごと+チャットの記憶も届くチャットの記憶は効く共有される
Cowork(自分のPCで実行)プロジェクトごと効かない共有されない
記憶の中身を見る・直す・消す(設定 > メモリ)Claudeが何を覚えているかはトピック(話題)ごとの一覧で確認でき、その場で編集・削除できます。新しく覚えるのを止める一時停止と、全部消すリセット(元に戻せません)も同じ場所。健康・信条・政治・人種などセンシティブな話題は、既定では記憶しません——毎回説明し直すのが面倒な場合だけ「センシティブな話題も記憶する」をオンにします(オンにすると、その種の内容を保存するたびに画面で知らせてくれます)。記録を残したくない相談はシークレットチャットを使えば、メモリにも履歴にも残りません。
会社で使うときの注意(プランで既定が違う)メモリが最初からオンなのは無料・Pro・MaxTeam・Enterprise は既定オフで、組織のオーナーが有効にしない限り働きません(公式)。「もう共有されるはず」という前提で社内に説明すると食い違うので、会社契約の場合はまず設定を確認してください。
実務上の対処(共有された今でも変わらない)記憶が届かない場面は、まだ3つあります——①自分のPCで動かすCoworkセッションTeam・Enterpriseで既定オフのときClaude Codeの「メモリ」は別の仕組み(下の注)。だから、全体に効かせたいルールは 設定 > Cowork のグローバル指示へ、案件固有の前提は各プロジェクトの指示か参照フォルダ内の Markdown に置きます。ファイルに書いておけばチャットからもCoworkからもClaude Codeからも同じものを読めるので、結局それがいちばん揺れません。「記憶に頼りきらず、共有ファイルを“唯一の正”にする」——これは今回の更新後も有効なコツです。

※ここでいうメモリはClaudeアプリ側(チャット・Cowork)の記憶で、Claude Codeの「メモリ」とは別物です。Claude Code側の記憶はあなたのPCの中に .md ファイルとして保存され、クラウドや他のパソコンとは共有されません(公式に明記)。だから今回の統合でClaude Codeの記憶が同期されるようになったわけではありません。詳しくは教材「AIの記憶と第二の脳のつくり方」へ。

PART 1 / 4

それぞれの正体

まず Cowork と Code が「何者で・何が得意か」を1つずつ。ここが分かれば、使い分けは自然に決まります。

第1章

Claude Cowork とは — 事務仕事の相棒

Claude Cowork(クロード・コワーク)は、コードを書かない人のための「自律作業タブ」です。「このフォルダの領収書を月別に整理して」「先月の提案書を参考に今月の報告書をまとめて」と頼むと、AIが自分で段取りを立て、ファイルを開き、作って仕上げる——という一連の作業を代行します。2026年1月にプレビュー提供が始まり、Mac/Windows/Linux のデスクトップアプリで動きます(Web・スマホ版もベータ提供中)。

Coworkが得意なこと

得意中身
実ファイルを直接つくるExcel(.xlsx)・PowerPoint(.pptx)・PDF・Word などを、パソコンの中に直接作成・編集。数式や書式の入った表、体裁の整ったレポートまで
画面で安心して任せられる大事な操作の前に「これをやります」と計画を見せ、あなたの承認を待つ。どのファイルを開き・何をしたかがステップ表示で見える
ボタンで外部ツール連携Google ドライブ・Gmail・Slack・Notion・GitHub などの「コネクタ」を、設定画面からクリックで接続(黒い画面の設定ファイル編集は不要)
定期実行の予約「毎週月曜の朝にレポートを作る」などを、アプリから予約できる
スマホから発火(Dispatch)外出先のスマホから作業を投げ、完了や承認待ちがスマホに通知で届く(※Pro・Maxプラン専用。Team・Enterpriseでは使えません
安全のしくみ(正確に)Coworkは「あなたが許可したフォルダしか触れない」のが基本です。ここは共通。ただし「どこで動くか」で少し違います——デスクトップで動かすときは、あなたのPCの上で直接動きます(許可フォルダ限定・操作のたびに権限チェック)。Web・スマホで動かすときは、Anthropic側の使い捨ての隔離環境(セッションごとに作られ、終わったら消える。自宅・社内ネットには届かない)で動きます。「常に仮想マシンの中で安全」ではなく、動く場所で変わる、と覚えてください。

第2章

Claude Code とは — 何でもできるフル装備

Claude Code(クロード・コード)は、ターミナル(黒い画面)や VS Code で動く、開発者向けの相棒です。単なるコード補完ではなく、自分で計画を立て、ファイルを直し、テストを走らせ、エラーを直す——というループを自分で回します。Coworkと同じ「自律作業エンジン」を、いちばん自由度の高い形で使えるのがCodeです。

Codeが得意なこと

得意中身
開発ぜんぶプロジェクト全体(何百ファイル)の関係を理解して、複数ファイルにまたがる修正・リファクタリング(作り直し)をこなす
Git・PRの自動化自分でブランチ(作業用の枝)を作り、コミット(保存)し、PR(変更提案)を出すところまで
ガードレール(Hooks)「ファイルを編集したら」「保存する前に」など決まった瞬間に自動でチェック(テスト・整形・安全確認)を走らせる仕組み
手順の型(Skills)「この作業はいつもこの手順で」を登録して、/名前で呼び出せる
サブエージェントを増やす子分のAIに仕事を分担させて並行処理。複数のCodeがチームを組む機能(実験的)もある
無人で回すヘッドレス実行(claude -p)・GitHub Actions・Agent SDK(自作の仕組みづくり)で、人がいなくても動く自動化を組める
自由の裏返し(正直な注意)Codeはターミナル経由でPCのファイル全体・あらゆるコマンドに触れます。強力な反面、Coworkのような「許可フォルダだけ」の安全柵は自動ではありません。危ない操作を封じる「deny設定」や、確認モードは自分で用意するのが前提です(→ 第8章、および教材「AIの記憶と第二の脳のつくり方」)。

PART 2 / 4

できること・できないことの境界

「片方にできて、もう片方にできない(=苦手)こと」を両方向から。ここが使い分けの決め手です。

第3章

Coworkの方が向いていること

頭脳は同じですが、Coworkの方が明らかにラクな場面があります。「Codeにはできない」ではなく「Coworkなら手間がかからない」——差はそこです。

  1. Excel・PowerPoint・PDF が、何も用意せずに出てくる。Coworkは標準機能として作ります。Codeでも作れますが、そのための道具(ファイルを組み立てるプログラム)を用意する必要があり、その手間が最初の1回だけかかります。
  2. スマホから投げられる(Dispatch)。外出先のスマホからタスクを送り、完了や承認待ちが通知で届きます。これはCoworkタブの機能です(※Pro・Maxプラン専用。Team・Enterpriseでは使えません)。
  3. 判断することが少ない。Codeは「どのフォルダを開くか」「権限モードをどうするか」を自分で決めますが、Coworkはその手前が整えられています。AIに慣れていない人に渡すなら、迷う場面が少ないぶん有利です。
  4. 成果物そのものを見せてくれる。作った資料やファイルが画面に並ぶので、「何ができたか」が一目で分かります。
昔言われていた差は、かなり埋まりました 「Codeは黒い画面だけ」「連携にはファイルの編集が必要」「定期実行はCoworkだけ」——これらはCode=ターミナルだった頃の話です。いまはデスクトップアプリで、画面を見ながら操作でき、コネクタもクリックで接続でき、定期実行も設定できます残っている実質的な差は、上の4つくらいだと考えてください。
ひとことでCoworkは「事務仕事を、判断せずに任せられるようパッケージしたもの」。Codeは「何でもできる代わりに、自分で決める場面がある道具」です。

第4章

Codeにできて、Coworkにできないこと

逆に、Codeにしかできない(Coworkでは対象外の)領域もはっきりあります。ざっくり言うと「PC環境や開発システムそのものを、AIに直接・無制限に触らせる」世界です。

  1. PC全体への自由なアクセス。Coworkは許可フォルダの外に出られませんが、Codeはファイルシステム全体・あらゆるコマンドを扱えます(自由=自己責任)。
  2. 独自のガードレール(Hooks)と自律ループ。「テストが通るまで直し続ける」ような連鎖的な自動化・自動チェック体制は Code の領分です。
  3. Git・CI/CDへの本格組み込み。「PRが来たら裏でCodeが動いてレビュー・修正PRを出す」といった開発ラインの自動化。
  4. 複数AIの連携(サブエージェント/チーム)。子分に分担、複数インスタンスでの協調(実験的)。
  5. 無人・24時間の仕組みを自作。ヘッドレス実行や Agent SDK で、PCを開いていなくても回るシステムを組める。
  6. 巨大なコードベースの一気通貫。数百・数千ファイルの依存関係を読み解き、修正→テスト→デプロイまで。
ひとことで「何でも命令できる、いちばん強力な実行エンジン」——それが Code。強さと引き換えに、安全は自分で設計します。

PART 3 / 4

使い分けと運用

早見表・両方使うシナリオ・お金のしくみ。日々どう回すかを具体化します。

第5章

使い分け早見表

項目Claude CoworkClaude Code
主な対象事務・営業・企画・経営など(非エンジニア)開発者/自動化を自作したい人
入口・画面デスクトップアプリ(普通の画面・ボタン操作)ターミナル(黒い画面)・VS Code など
得意な成果物Excel・PowerPoint・PDF・Word・レポートプログラム・Git・PR・テスト
ファイルの触り方許可したフォルダだけ(安全側)PC全体(自由・自己責任)
外部ツール連携コネクタをクリックで接続MCP設定(手間あり/一部ワンクリックも)
定期実行アプリで予約・ルーティンルーティン・/loop・GitHub Actions など
進捗の見え方計画を見せて承認を待つ・ステップ表示文字ログ・文字で承認
学習コスト低い(直感的)やや高い(コマンド操作)
迷ったら「AIに事務や資料づくりを任せたい」→ Cowork。「開発や、裏で勝手に動く無人の仕組みを作りたい」→ Code。まだ何も決まっていない人は、いつものチャット(Chat)→ Cowork → Code の順に踏むのが、いちばん無駄がありません。

補足

外出先・スマホから使う方法は4つある

「スマホから使える」という話がいくつも出てくるので、混同しやすいところです。いちばん大きな違いは「Claudeがどこで動くか」——自分のパソコンか、Anthropicのクラウドか、の2択です。

先に結論クラウドで動かすなら、コードをGitHubに置いてあることが前提で、手元にしかないフォルダは扱えません。自分のPCで動かす(Dispatch・Remote Control)なら、手元のファイルをそのまま扱えます。ここが分かれ目です。
方法きっかけClaudeが動く場所準備向いている用途
スマホでクラウドを動かすスマホアプリから投げる・様子を見るAnthropicのクラウドGitHubに置いてあることPCを閉じても続けたい長い作業
Dispatchスマホアプリから新しく投げる自分のPC(デスクトップアプリスマホとデスクトップをペアリング外出中に任せる。準備が最小
Remote Control動いている作業を、スマホやブラウザから操縦する自分のPC(CLI/VS Code拡張claude remote-control を実行進行中の作業に、外から口を出す
ChannelsTelegram・Discordなどのチャットや外部の出来事自分のPC(CLIチャンネルのプラグインを入れるCIの失敗やチャットに反応させる

ひとことで言うと

プランの制限に注意Dispatch は Pro・Max プラン専用で、Team・Enterprise では使えません(公式に明記)。会社でTeamプランを契約している場合、「スマホから投げてPCで動かす」はできない、ということです。一方 Remote Control は全プランで使えます(お試し公開中。Team・Enterpriseは既定オフなので、管理者が設定で有効にする必要があります)。クラウドセッション自体もお試し公開中です。
Remote Controlの安心なところスマホから操作しても、Claude本体は自分のPCで動き続けます。ファイルもMCPもプロジェクト設定もローカルのまま。スマホは遠隔の操縦桿になるだけで、コードがクラウドに移るわけではありません。ターミナル・ブラウザ・スマホのどこから打っても、会話は同期します。

※このほかに、Slackで @Claude と呼ぶ方法(Anthropicのクラウドで動く)と、時刻を決めて自動で動かす定期実行(CLI・デスクトップ・クラウドのいずれか)もあります。

第6章

両方使うなら — 使い分けシナリオ

エンジニアと非エンジニアが混じるチームや、一人で何役もこなす人が、実際にやっている合理的なパターンです。

シナリオ1:上流はCowork、下流はCode

アイデア段階・仕様づくり(たたき台のドキュメント作成)は Cowork。実際にコードを書き、テストして仕上げる段階に入ったら Code。完成後、お客様向けマニュアルやPDFの体裁を整えるのは、また Cowork に戻す——という受け渡しです。

シナリオ2:CSVを分析して共有する

「CSVをサッと分析して、きれいなExcelやPDFにして、Slackやメールで共有」なら Cowork の独壇場(コネクタでそのまま送信まで一気通貫)。ただし、数百万行の超巨大データや、大量のCSVを一括で整形・結合する重い下処理Code が速い。Codeで加工 → Coworkで見栄えよく仕上げて共有のバトンタッチが効率的です。

シナリオ3:1日の中で役割分担

朝〜日中の事務(タスク整理・議事録・売上レポート)は Cowork、落ち着いた時間の開発・自動化づくりは Code。同じ人でも、時間帯で入口を変えるだけです。

両方使うときの注意(2つ)利用枠は共有——Chat・Cowork・Code・定期実行はすべて同じサブスクの枠を使います(→第7章)。片方で重い処理を長く回すと、もう片方も一時的に上限に当たります。重い作業は交互に。②ルール(CLAUDE.md)の住み分け——同じフォルダをCodeとCoworkの両方で同時に動かすと、記憶やルールの解釈がかみ合わず食い違うことがあります。「これは開発用/これは資料用」と分けて書くのが無難です。

第7章

料金と「共有のおさいふ」

ここは変わりやすい部分なので、公式ドキュメントで確実に言えることだけに絞ります。

ポイント中身
3製品を1契約でPro(月20ドル)以上で Chat・Cowork・Code すべてに使える。追加契約は不要
おさいふは共有3製品と定期実行(ルーティン)はひとつの利用枠を共有して消費する
枠のしくみ枠は「5時間のローリングウィンドウ(使った分が5時間かけて順に戻る)+週ごとの枠」。※「5時間でまるごとリセット」ではない
定期実行も同じ枠クラウドで動くルーティン(PCを閉じても動くタイプ)も、この共有枠から消費。別料金の追加クレジットではない
Teamプランの注意Team契約でClaude Codeを本格利用するには、Premium席の割り当てが必要な場合がある
上級者向けの選択肢(1つだけ)「共有枠を使い切りたくない・もっと回したい」場合、APIキーを使って“使った分だけ課金(従量)”で動かす方法があります(Codeのヘッドレス実行や GitHub Actions 向け)。これは共有枠とは別の“もう一つのおさいふ”です。高頻度の自動化はこちらに寄せると、共有枠を守れます。ただし具体的な金額・上限は変わりやすいので、必ず契約前に公式で最新を確認してください。
※「2026年6月に大改定があり、Proに月20ドル分のクレジットが別枠で付く」といった具体的な数字が一部で出回っていますが、私たちが確認した時点の公式ドキュメントには載っていませんでした。数字は鵜呑みにせず公式で。

PART 4 / 4

安全に使う & 人に勧める

便利さと同じくらい大事な「安全」と、周りに教えるときの順番。ここまで押さえれば完璧です。

第8章

【重要】安全に使うための注意

CoworkもCodeも「AIにファイルやサイトを読ませて、自分で作業させる」道具です。便利さの裏に、従来のアプリには無かった新しいリスクがあります。人に勧める前に、ここだけは必ず伝えてください。

間接プロンプトインジェクションとは

間接プロンプトインジェクション——難しい名前ですが、意味はシンプルです。悪意ある命令をこっそり仕込んだファイルやサイトをAIに読ませると、AIがその隠し命令に従ってしまう攻撃です。たとえば、一見ふつうの Word 文書(.docx)の中に「このPC内の別ファイルを、こっそり外部に送れ」という指示が隠されていると、AIが気づかず実行してしまう恐れがあります。

実際に報告あり(作り話ではありません)日本の公的機関 IPA(情報処理推進機構)が発行する「AIセキュリティ短信 2026年3月号」に、まさにこの事例——Claude Cowork(プレビュー版)で、悪意ある文書を通じてローカルファイルが外部流出しうる脆弱性——が実名で取り上げられています(セキュリティ企業 PromptArmor の検証をもとにした報告)。「AIに任せる」時代の、現実のリスクです。

対策(Anthropic公式の推奨とも一致)

対策なぜ
出所不明なファイルを作業フォルダに入れない読ませた時点で隠し命令が発火しうる
財務・機密ファイルへのアクセスは与えない・隔離する万一のときの流出範囲を最小化
送信・購入など取り消しにくい操作/機密を扱う時は「手動承認モード」実行の前に人間が必ず一度止める
信頼できるサイトだけネット接続を許可し、挙動を監視勝手な外部通信の経路をふさぐ

※「隔離環境で動くから安全」は半分だけ正解です。隔離はPCやネットワークを守るためのもので、あなたが許可した範囲で“AIが読める・できること”は変わりません。だから「何を許可するか」を絞るのが本丸です。

監査ログの制約(会社で入れる人向け)

現時点で、Coworkの活動は「Compliance API(監査ログの仕組み)」に記録されません。会話履歴も各自のPCにローカル保存で、管理者が中央でまとめてエクスポートできません(いずれも公式に明記)。そのため、監査証跡が義務づけられた規制業務には、Coworkの利用は慎重に——というのがセキュリティ専門家の共通見解です。「便利だから全社で一斉に」ではなく、扱う情報の重さで線を引いてください。

第9章

人にどっちを勧める?

決め手は「相手が非エンジニアかどうか」ではありません。「その人が何をしたいか」です。ここを取り違えると、遠回りさせてしまいます。

その人がやりたいこと勧めるもの
資料づくり・Excel・調べ物など、いまの事務仕事を楽にしたいCowork。成果が早く出て、手応えがある
自分たちの業務に合わせた仕組み・ツールを作りたいCode。Coworkを経由する必要はありません
まだ決まっていない。とりあえずAIに触れたいCowork。触って感覚をつかむのが先

「非エンジニアならCoworkから」は、前提が変わりました

以前は「非エンジニアに Code は荷が重い」と言われていました。Code=黒い画面(ターミナル)だった頃の話です。インストール、コマンド、設定の学習——事務作業をしたいだけの人に、それを最初に強いるのは確かに挫折の原因でした。

いまはデスクトップアプリで Code が使えます。黒い画面は要りません。フォルダを選んで日本語で頼み、1つずつ許可を出すだけです。「黒い画面が怖いからCoworkへ」という理由は、もう成立しません

判断の軸はこれだけやりたいことがCoworkの範囲で終わるなら、Cowork。「自分たちのための道具を作る」ところまで行きたいなら、最初からCodeで構いません。Coworkは通り道ではなく、別の目的地です。

Coworkを勧める場合の良さ(事務が目的なら)

Codeから始める場合の進め方

いきなりCodeでも大丈夫ですが、始め方だけ押さえてください。

この3つを守れば、Coworkと同じ「見えて・止められる」安心感のまま、作る側に回れます。

組織で広げるときの型Codeで作った手順の型(スキル)や自動化の仕組みは、Markdownなどの共通フォーマットでできていて、チームに配って共有できます作れる人が型を作り、みんながその恩恵を受ける——この形が、組織の生産性をいちばん引き上げます。全員がCodeを覚える必要はありません。※Codeで作った型をCowork側でそのまま動かせるかは環境・時期で変わるため、まずは「同じチームで同じ型を使い回す」発想から始めるのが安全です。

付録

モデル早見 + 用語ミニ辞典

中身のAI(モデル)— 2026年7月時点

CodeもCoworkも、裏側で動くAI(モデル)は共通で、どんどん新しくなります。名前は変わりやすいので「今はこの並び」という参考に。

モデル位置づけ
Claude Fable 5一般提供のいちばん高性能(長時間の自律作業向け)
Claude Opus 4.8複雑な開発・企業業務の主力
Claude Sonnet 5速さと賢さのバランス(多くの場面の“既定”)。※旧世代の「Sonnet 4.6」ではなくこちらが現行
Claude Haiku 4.5最速・軽量
(Claude Mythos 5)実在するが招待制の限定提供。ふつうは使えない(主に防御的セキュリティ用途)

用語ミニ辞典

コネクタ
Google ドライブやSlackなど、外部サービスとつなぐ“差し込み口”。Coworkはクリックで接続できる。
MCP
AIと外部ツールをつなぐ共通の仕組み。Code側では設定ファイルの用意が要ることが多い。
ルーティン//schedule
「毎朝◯時に」など定期実行の予約。クラウドで動くタイプはPCを閉じても動く。
Dispatch(ディスパッチ)
Coworkの機能。スマホから作業を投げ、通知で受け取れる(Pro/Max向け)。
Hooks(フック)
Codeの機能。「保存前に必ずチェック」など、決まった瞬間に自動処理を挟む安全柵。
ヘッドレス実行
画面での対話なしにAIを動かすこと(claude -p)。無人の自動化に使う。
ローリングウィンドウ
利用枠の戻り方。使った分が一定時間かけて順に回復する(まるごと即リセットではない)。
間接プロンプトインジェクション
悪意ある命令を仕込んだファイル/サイトを読ませてAIを乗っ取る攻撃。→第8章の対策を必ず。
この教材の作り方(透明性のため)本文の事実は、Anthropicの公式ドキュメントとIPAの一次資料で1つずつ確認しています。逆に、出回っていても公式で裏が取れなかった数字(例:2026年6月の料金改定の具体額)は載せていません。数字や仕様は変わりやすいので、契約・導入の前に必ず公式で最新をご確認ください。